カテゴリ:Books( 4 )
高熱隧道
d0052538_229999.gif昭和初期、日本が戦争への道を歩もうとしている時、
黒部渓谷に発電所を建設するためのトンネルが掘られた。

この本は、多大な犠牲を払って完成したその工事をについて
吉村昭が詳細に調べ上げて書き上げた物語で、
登場人物こそ架空のものであるが、ストーリー自体は
全て実際のエピソードを再現しているらしい。

トンネルの難工事の記録、と聞くと、
昨今ではプロジェクトXのような
苦難と成功、そして感動、、、といった
美談になりそうなキーワードが連想されそうだが、
この物語に関しては、そのような美談は微塵も出てこない。
むしろ、国家的事業のために多大な犠牲を払った人たちへの哀悼の物語とも言える。

ダイナマイトが自然発火するような高温の坑道を掘る人々が
途方もない執念をもって工事を進めている様子を淡々と書かれているが、
むしろ生やさしい表現が使われていない分、迫力がある。

ちなみに、「隧道(ずいどう)」というのは、トンネルの事だが、
他にも"棺を埋めるために、地中を掘り下げて墓穴へ通じる道"という意味も持つ。
300人を超える犠牲者を出した難工事を記録した物語という事もあり、
偶然かもしれないが、非常に意味深なものを感じずにはいられない。
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by climberkitune | 2006-04-28 22:10 | Books
アヴェンジャー
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少し前にブックオフで見つけて購入。
風邪も落ち着いてきたので、ここぞとばかりに1日かけて読みきった。

実は、フォーサイスが新作を(それも1年以上前に)出していたことを知らなかった。
以前ほど本屋に足を向けなくなったということを実感。
以前だったら、この渋く目立つ表紙は絶対に見逃さなかったと思うのだが・・・。

東西の冷戦も終わり、国家の情報を探るスパイが活躍する時代ではなくなったので、
一時期はフォーサイスの小説ももう出ないのではないか・・・とも言われていたが、
本作でも相変わらず時代に相応しいプロフェッショナルが、見事な行動を取っている。
読み手としてはうれしい限りだった。

今回も、主要な登場人物の過去から現在に至る経歴や経緯が
事細かなストーリーとして仕立てられているので、
どのような人物がどのような行動を取っているのかが手に取るように判る気がする。
また、主人公が計画を進めていくに当たって、幾重にも待ち受ける困難を、
緻密な計画と、敵側の裏の裏をかくような策で切り抜けていく様子が
何ともエキサイティングでどんどん引き込まれていく。

そして―――
フォーサイス作品の「お約束」とも言えるサプライズが待つ結末へ流れ込んでいく。
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by climberkitune | 2006-01-13 23:38 | Books
クライマーズボディ
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やっと出た、という感もあるが、本格的な「スポーツとしてのクライミング」をする人のためのボディケアのための一冊。

これまでにクライマーのボディケアについて触れた本は何冊かあったが、トレーニング方法に関してはかなり細かく記されているものの、ケガに関してはその概要と、基本的な予防方法に触れただけのものばかりだった。

本書では、基本的なトレーニングの方法から、クライミングによる動作の解剖学的な説明や、クライミングによって起こっているケガの症例についての原因や対策が詳しく解説している。

もっとも、対策といっても「クライミングをやめる」というのが一番なのだが、その点についても、『いくら自制を呼びかけたところで無駄に違いない』という恐ろしく本質を衝いた一節が載っているくらいなので、そういう意味ではクライマーの立場に立った一冊だろう。
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by climberkitune | 2005-07-16 00:00 | Books
『人間にとって科学とは何か』
d0052538_2248184.jpg『人間にとって科学とは何か』
湯川秀樹、梅棹忠夫(1967、中央公論社)

ともに著名な物理学者と人類学者の対談。
当時の世界トップクラスの科学者が必ずしも科学は万能ではない、という視点で語っているのが面白い。

大学に入って科学を学ぶという事が、
科学を推進させるという意欲ではなく、
ルーチン化された科学をやることになるのではないか、
という意見が非常に印象的だった。
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by climberkitune | 2004-09-23 00:00 | Books



日常生活の断片
by climberkitune
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